六本木で挑戦的なカレーうどんと戦う「MADRA J CAFE」

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『旨味とスパイスの二重奏!』

『こんなカレーうどん食べたことない!』

『カレーうどんのリーサルウェポン!』

『カレーうどんの新たな歴史が始まる! 』

実に挑戦的なノボリのカレー屋が六本木にあった。

カレーうどんについて

「カレーうどんの新たな歴史・・・」

冷静に考える。

そもそもカレーうどんとは一体何なのか。

飄々と市民権を得ているようだが、お前本当はB級グルメじゃないのか。

だって隣にナンがあるのにうどんを選びますか?

このノボリがなければ僕はカレーうどんは食べなかった。

B級だがヘルシー

とは言ったものの、実際食ってみてウェポンされた。

うん、B級グルメだ。これぞB級グルメ。インド+日本がここにある。

でもちゃんと美味い。

うどんであることの良さ

ナンやサフランライスは脂っこい。

それに対して、うどんは脂っこくない。

僕はインドカレーが大好きだが脂っこいものがあまり得意でないので割とマジで嬉しい。

純粋にスパイスを楽しむにはうどんというチョイスは案外適してるのかもしれない。

飲み会の締めにも良さそう。

六本木の汚いカレー屋の思い出

ところで、六本木にはカレー屋がまあまあ多い。

外国人街だからだ。

特にアジアからの観光客ではなく、非アジア系の在日外国人がそこら中にいる。

思い出したのは3年前に無くなった六本木のあるカレー屋のことだ。

やたらめったら辛かった。

「ラッシー、飲みなよ」

「ありがとう」

だがそのラッシーはしっかり伝票に付けられていた。

「ここもすっかり綺麗になっちまってよお。以前なら絶対いなかったようなおねーちゃんがさ、あのでっけービルから出てくんのよ」

ミッドタウンのことを言っているらしい。

まあ、僕も「綺麗な六本木」の象徴だ。

この街に山ほどあるビルの中の星ほどあるベンチャー企業の一つで働いているのだから。

「中にいる身としてはそんな綺麗じゃないっすけどね」

「そうかい。○○○? それとも○○○○?」

具体的な企業名を上げてくる。

2社とも、当時はイケイケだった。それから3年経った今の状況は推して知るべし。

「兄ちゃんよお、なんで六本木には外国人が多いか知ってっか?」

「大使館が多いから?」

「まあそれもある。だけどそれだけじゃねえ。進駐軍の施設とかな、

あとは進駐軍のための○○○がたくさんあってさ、それはもう他所からも外人がこぞって遊びに来るわけよ」

やれやれ、食事中なんだがな。

その店主も他のカレー屋と同じくインド系であったが、その人となりは全然違った。

日本語がやたら上手いし、一人で来た客に世間話をしてくる。

その癖、気さくな訳ではなく、笑えない話も多い。皮肉屋なのだ。

植民地時代の話なんかも交えてくる。

英国の血でも混ざってるのだろうか。いかん、皮肉がうつった。

でも彼に言わせるとインド人はそういうものらしい。

「インド人といえば陽気みたいに思ってるだろ? スクールカーストの語源を考えてみろってんだよ」

インド人の口からスクールカーストいう言葉が出てきたことに驚く。

まあ、映画のラストで踊ってるイメージはある。

「映画の最後でとりあえず踊っとけばいいとでも思われてるわけでしょ。兄ちゃんはインドの映画、見たことあっか?」

「スラムドッグ・ミリオネアなら」

「それはインド映画じゃねえよ」

結局ビルが取り壊しになると共にそのカレー屋は無くなってしまった。

僕はそのタイミングでプロジェクトが炎上し、外食できなかった。だから彼にはさよならを言えていない。

どこかもっと地価の安い街で、きっとまたカレーを作っては皮肉を言っているのだろう。

僕は西麻布のマダムの井戸端会議が聞こえてくるカレー屋でB級グルメに舌鼓を打ちながらそんなことを思い出すのであった。

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