同人誌を買おう
アニメーターや漫画家アシスタントは年収100万円代でボロボロになるまで働かせられる、という話をよく聞きます。
とても心苦しい話だと思います。
そういったアニメーターの地位を向上させるために、僕ら読者・視聴者に出来ることって何でしょうか。
よくある意見として「ちゃんと金を落とそう」というものがあります。
大事ですね。
違法サイトを使わず、ちゃんと正規のルートでコンテンツを消費する。
業界にきちんとお金を落とす。
良いことです。
ですが、商業ベースに乗っているものにただお金を落とすだけでは、その中のアニメーターの取り分は変わりません。
オタクにだって、払えるお金に限度はあります。特に学生には厳しいものがあるでしょう。
一番オタク活動に打ち込める時期にお金を持っていないのです。
なので、「ちゃんと金を落とそう」以外に僕の意見を述べます。
クリエイターの地位向上・待遇改善のために僕らが出来ること。
それを無理矢理一言で纏めると、「同人誌を買おう」です。
なぜ商業誌じゃなく同人誌を買うべきか
商業誌には、宣伝費やインフラや出版社の人件費が掛かっている。
商業誌やテレビアニメが作られるまでには、色んなお金が掛かります。
宣伝費、インフラ、出版社の人件費、などなど。
産業構造として、コンテンツそのものを生み出すこと以外にも、莫大な金が使われているわけです。
それこそがこの搾取の構造を生み出しているわけです。
悪の組織がアニメーターの成果をただ食いしているわけでは(必ずしも)ありません。
なので、その費用を客が肩代わりすべきだというのが今回の僕の意見。
そしてその解決方法こそが、商業誌ではなく同人誌を買おう、ということなのです。
えー同人誌?と思う人の心理として、以下のものがあるかと思います。
- みんなが盛り上がっているものに着いて行きたい。
- ハズレを引きたくない。
- 手っ取り早く面白いものを消費したい。
- 探す手間が惜しい。
気持ちは分かります。
ですが、そんなインスタントを求める顧客心理を満たそうとした結果が、アニメーターの搾取を生んでいるのです。
アニメーターだけでは商業アニメというエコシステムは作れないのです。
「冬アニメ何見る?」という言葉の中には、テレビで放映するアニメ、という強固な枠が存在しているのです。
テレビでやるから、というコンセンサスでみんな見る。
これがニコニコ動画やAbemaTVで放映されるとしたらここまで盛り上がらないでしょう。
もっと言えばクリエイター個人がYouTubeなりなんなりで上げる動画は見ないでしょう。
見ようともしない。
だけど、その結果がこの有り様なのです。
この構造を生み出しているのは我々視聴者だ、とまでは言いませんが、解決のために産業構造をきちんと知っておくことは大切と僕は考えます。
インフラに掛かる費用を読者が肩代わりする
インフラにはカネがかかるのです。
ニコニコ動画がいい例です。
画質が悪いとかすぐ落ちるだとかあれだけ叩かれても、やはりそれを改善できていないのは、インフラを整備するのにはそれだけ金が掛かるという話なのです。
本当にコンテンツを愛し、クリエイターを愛するのなら、インフラは妥協できませんか。
別に低画質だっていい。
プチプチ切れたっていい。
だって僕たちはインフラにではなくコンテンツに金を落としたいのだから。
そういうパラダイムシフトが必要なのではないでしょうか。
同人誌に掛かる費用
一方、同人誌であれば、コンテンツ製作に直接関わらない費用はかなり削減出来ます。
デジタルコンテンツのかたちであれば、やりようによってはほぼ100%作者に還元可能でしょう。
実際は決済代行システム、あるいは販売サイトにいくらかマージンを取られます。
それが嫌なら、作者は口座番号を公開して、ファンはそこに直接振り込めばいい。
ビットコイン(仮想通貨)ならこういったことが、アプリから個人情報は守ったまま、世界中からワンタップにできてしまいます。
こういうところに僕はビットコインの可能性を感じているのですが、今回は同人誌の話なので以下省略。
紙媒体で出版するなら、印刷代とイベントの参加費は掛かります。
ですが、10%とも言われている漫画家の印税に比べれば、それは遥かに優しいものでしょう。
同人誌のつくる世界
作者の視点で考えれば搾取構造が見えてくる
ここでひとつ、作家の立場に立ってみましょう。
あなたが何か作品を作ったとします。
それはつまらないかもしれないが、面白いかもしれないし、多くの人の心をうつ可能性すらあります。
ですが、作った作品をどうやってたくさんの人たちに知ってもらうか、読んでもらうか、買ってもらうか。
そう、著作者は常に頭を悩ませるわけです。
結局、この作品はほとんど読まれないか、あるいは商業ベースに乗せることで、ごそっと中間搾取されてしまうわけです。
ですがそこに、視聴者がもっと歩み寄れば、中間搾取を無くし、読者と視聴者の距離を近付けることができます。
読者自ら、クリエイターの元まで足を運ぶようにすればよいのです。
その結果もし取り分を五倍に出来れば、年収150万円のアニメーターは年収750万円を得られる期待があるのです。
みんなで盛り上がりたいのなら、あなたが盛り上げればいい
「テレビ放映がなくなってしまったら、全員で盛り上がることができなくなる」
「Twitterで一斉ツイートしたり、絵師の二次創作を見るまでがアニメの楽しみなんだ」
その意見はごもっともです。
しかし、シェアすることが一番の楽しみなのだとしたら、あなたが好きなのはコンテンツそのものではないということになる。
多少面白ければ、何のアニメだっていい。
もしそういう考えなのであれば、アニメーターの取り分が減るのは仕方なくなってしまいませんか。
もっと作品そのものに目を向けてみませんか。
あるいは、どうしても皆で盛り上がりたいのなら、あなたが工夫して盛り上げればいいのです。
あなたが面白いと思えるものを、あなたの足で探す。
メディアに頼らない。
そして、あなたがあなたの言葉で魅力を語って、好きなものを広めてやればいい。
テレビやメディアにそれを肩代わりしてもらった瞬間に、この搾取構造は生まれてしまうのです。
あなたの足で好きなものを探そう。そしてそれをあなたが盛り上げよう。
以上、アニメーターの地位を向上させるために僕ら視聴者に出来ることが、「同人誌を買おう」であることの理由の説明でした。
作品を手早く便利に視聴者に届ける仕組みこそが、アニメーターの搾取を生み出している根源なのです。
それを解決する方法として、読者がクリエイターにもっと歩み寄るべきだと提案したのです。
で、ここからは完全に僕の私的な意見なので、聞き流してください。
僕は、自分の好きなものを自分で見つけようとしないのなら、オタクを名乗る資格はないと思っています。
与えられたもの・流行っているものを無条件に受け入れて、他人の言葉を借りて評価して、
その真の目的は良質なコンテンツを鑑賞することではなくただ同胞と群れて暇と孤独を埋めること。
そしてその安堵な世界を妨害するものをこぞって攻撃する。
それは果たしてオタクと言えるのでしょうか?
お金を落とす。
それは素晴らしいことです。
ですが、自分が真に好きと思えるものを捜し求める、
その魅力を自分の言葉で語って盛り上げる。
そういったことを考えてみてもいいのではないでしょうか。
与えられたものをただ消費するだけよりも、僕はその方が絶対に楽しいと思います。
閑話休題。
すみません、多少言葉が過ぎてしまいました。
僕自身、今のこの搾取構造をよく思っていないのです。
ですが、外野が現状を嘆いたところで、改善は期待できません。
デモやストライキをアニメーター自身が行わない限りは。
だからこそ、我々視聴者が具体的に出来るアクションを述べさせてもらいたかったのです。
もし賛同出来る部分があれば、あるいは、反論があれば、是非シェアして頂けませんでしょうか。
いっしょに議論を盛り上げましょう。
クリエイターの地位の向上のためにも。
文責:シータートル
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