監督の資質って何?
昨今、すっかりブラック企業というものは社会悪とされ、政治レベルで改善が取り込まれるようになった。
もちろん業界全体が腐りきっていることもあれば、非正規雇用にしわ寄せをしているだけという意見もある。
その「ブラック=悪」という図式は、企業だけではなく、スポーツにも向けられた。
だが、スポーツとなると単純にこの図式を当て嵌めていいのか、非常に難しいものがある。
最近考えてるのはスポーツでの最適な指導法だ。
ホワイト監督とブラック監督
相撲の春日野親方やレスリングの栄和人などはパワハラ監督ではあるが、彼らのパワハラを耐え抜いた栃ノ心や吉田沙保里はしっかり結果を残している。
少し前の話題ではあるが、ラグビー日本代表が南アフリカに大勝利したのも、誰よりも練習をするエディー・ジョーンズの指導、すなわちしごきの結果と言える。
2017年の夏の甲子園においても、リアルルーキーズの高校が出場した。
ただし一方で、皆が皆、パワハラやいじめにあってきたわけではない。
大谷翔平や藤井聡太、冬季五輪で結果を出した羽生結弦やカーリング女子のように、パワハラとは少し遠い世界で、すくすくと育った選手もいる。
大谷翔平の師である日本ハムファイターズの栗山英樹監督は大変興味深い人物である。
詳しくはなん J のまとめなどを見てもらうことにして、とにかく選手の目線に立つ監督である。
選手からものすごく慕われており、貧乏球団であるファイターズを人気球団に押し上げ、数年に一度結果を出す監督だ。
本質はホワイトかブラックかではない
ホワイト監督とブラック監督、どちらがいいか。
この二項対立はあまり意味がないのかもしれないとふと思った。
本質は、おそらく絆があるかないかなのだろう。
ブラック監督はやはり選手の半数からは嫌われる。だがそれでもついて行こうとする選手はいる。
パワハラ監督であろうが、選手が慕って着いて行くことはざらにある。
そしてファンもまたそれを好意的に捉える。
秋元康がどんなに気持ち悪かろうが、彼を慕うアイドルを見てアイドルオタクは涙を流すのだ。
ハリルホジッチの失敗
だから監督の手腕というのは、選手といかに信頼関係を築けるかである。
だが、ハリルホジッチは選手と仲が悪かった。
今やリベラルな男の代名詞となった本田は彼を受け入れなかった。
加えて、ハリルホジッチの欧米式のドライな戦略は日本に合わなかった。
親善試合で実験を行い、手の内を見せない。手段を選ばずに勝ちに向かっていく。
それを日本人は面白いと思わなかった。
パワハラ監督についていく選手というのは、本能的にパワハラ監督を求めている。
日本人は異常なまでにストーリーや物語やキャラクターといったものに執着する民族だったということだ。