ロシアワールドカップまで残り2ヶ月にして、日本代表・ハリルホジッチ監督が降板することになってしまった。
その第一報は、奇しくもエンゼルス・大谷翔平がロスでノーヒットノーランを成し遂げんとしている最中に放送された。
さながら日本の二大スポーツの明暗を見ているようだった。
この時期の解任となるとアフリカや中東諸国くらいで、他の国ではほぼ見ません。過去5大会を振り返ると、W杯直前の監督交代が好成績につながったケースはありません。
それまでハリル監督に否定的であった人でさえも、この降板には疑問の意見を呈している。
何故このタイミングで。
その理由として、スポンサーから圧力があったと言われている。
ハリルは本田圭佑や香川真司といった人気選手を重要視せず、我流の戦術を組み立てて選手の自由を認めなかった。
本田や香川には大企業がスポンサードしており、彼らが出場しないことは、スポンサー企業や広告代理店にとって都合の悪いことである。
また、良くも悪くも日本代表の中で知名度があるのは彼らであり、彼らが出場しないことには、日本戦の視聴率にも影響を及ぼすであろう。
だからスポンサー企業と広告代理店にとって都合の悪いハリルホジッチはこのタイミングで去ることになったのである。
この意見を聞いた時、いささか陰謀論のようだと思った。
だが、翌日のテレビのワイドショーを見て僕の意見は少し変わった。
どこも代表監督交代の話を報道していないのである。
ネットでの議論の白熱が嘘のように、どの局も大谷翔平の栄光や日本相撲協会のスキャンダルだけを報道していた。
俄然真実味を帯びてきた。
ところで、サッカー通のハリルの評価は賛否両論のようだ。
「日本には合っていない」「我流で古臭い」という否定的な意見があれば、「日本代表のカンフル剤」「ここぞという所で結果を出す」という肯定的な意見も。
だが、監督としての資質以前の問題があったように僕には思う。
ハリルの何が良くなかったのか。
それはハリルジャパンが、素人に対して「なんか駄目っぽい雰囲気」を出し続けていたことだ。
ハリルの素人目の印象はどうだろう。
「年齢がいっている」「表情が常に険しい」「選手と仲が良くない」「何を考えているか分からない」・・・
無邪気で可愛いものが大好きな日本人には全く嵌まらないキャラクターであった。
それに選手側の事情が重なった。
大谷翔平、藤井聡太、大坂なおみ、羽生結弦やカーリング女子などいろんなスポーツが多彩な新しい時代の寵児を排出していく中で、サッカーだけが明るいニュースを引き出すことができずにいた。
アジアカップトップ通過という実際の結果に対してあまりにも逆風が吹き荒れていたように思う。
この逆風に耐えかねた日本サッカー協会はハリルホジッチを契約解除するという決断に出た。
しかし世間のこの決断に対する声は厳しいものであった。
堂々としていればいいものを、日本サッカー協会の旧態依然とした対応が相まって「なんか駄目っぽい雰囲気」はさらに加速されてしまった。
だが僕はひとつだけ言いたい。
面白い展開になってきたということだ。
逆風が強ければ強いほど、それに反して結果を残した時の世間の手のひらの返り方は一層大きくなるものだ。
2010年のワールドカップを思い出すまでもない。
だからこそ、僕はここからの日本代表を応援したい。
日本サッカー協会は、今回の決断を「本戦勝利の可能性を数パーセントでも上げるため」と言っていたが、実際の勝率はむしろ下がったであろう。
だが、 もしここで結果を残すことがあれば、その熱狂はより大きくなるに違いない。