[いまさらですがソ連邦] クリエイターにとっての共産主義の功罪を考える

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Q13,ロシア製の娯楽作品で好きなものは?

A,簡単な質問だ。ない。映画も音楽もゲームも全てクソだ。ソビエト時代には良い映画もあったがな。

https://yuta-siberia.livejournal.com/113381.html

ソ連は閉鎖的な政治体制でありながらも世界に向けてカルチャーを発信していた。

戦艦ポチョムキン、惑星ソラリス、不思議惑星キンザザといった名作映画、あるいはゲームのテトリスなどがある。

一方で現在のロシアはそれができていない。

言語統制が強く、競争意識が薄い社会主義国でどうしてこのような全世界を唸らせるようなカルチャーを生み出すことが出来ていたのか。

そこにどういう土壌があったのか?

いちクリエイターとして知っておかねばなるまい、と思い、「いまさらですがソ連邦」という本を読んでみた。絵がカワイイのでオススメ。

そこで、以下のように結論づけることができた。

  • 政治的なサポートが手厚かったから
  • 芸術は共産党の理想主義と相性が良いから
  • ロシア人の国民性から
  • 他の国にない特殊性を持っていたから

一つずつ説明していく。

政治的なサポートが手厚かったから

国に認められた作家は全国規模の組織に入り、一定の特権を得て創作活動に集中することができます。

いまさらですがソ連邦

特にソ連は宣伝媒体として映画を重視しており、国立映画学校が設立されている。

一方で、「ドクトル・ジバゴ」「ロバの尻尾事件」など表現弾圧の例がなかったわけではない。

芸術は共産党の理想主義と相性が良いから

「体制の宣伝マンとしての立場ももちろんありましたが共産党の理想主義やロシアの伝統という面も強かったのです」

共産主義というのは、動物としての人間のあり方を乗り越える試みである、という話は別の記事で書いた。

なぜヒトラーは社会主義(共産主義)を否定していたのか?そもそもナチスと社会主義の違いってなんだったんだろう?

2018年12月1日

超現実な理想を追い求める考え方は、芸術と相性が良い。

現実に生きるだけなら芸術はいらないからね。

ロシア人の国民性から

ソ連では発禁となった書物が地下出版で回し読みされていました。

ロシア語でサミズダートといって、タイプライターのカーボン複製などで作られたのです。

ロシア人は本来DIY精神が強いという記述がある。

国土が広く、色んなものが行き渡りにくいので、自分たちで作るという発想がある。

ソ連の場合、テレビ放送が発達していなかったため代わりに映画に注目が集まった点もある。

他の国にない特殊な国民性を持っているから

「ロシアというのはまず田舎でありまして、文化創作を重視するのはその裏返しなのですね。インテリは尊敬されるのです。」

東側諸国は西側の国からしてみれば異質な存在。

だから、西側のセンスでは作れないものを生み出すことが出来たのかもしれない。

UKのロックや日本の漫画ゲームや韓国のドラマなど、自分たちが自分たちのためにやっていたことがどういうわけか全世界に受けて、じゃあ全世界に向けて発信してみようとなってゆく土壌がソ連にはあったのだろう。

【感想】『いまさらですがソ連邦』刊行記念座談会 旧東側マンガのつくりかた@阿佐ヶ谷ロフトA

2018年11月14日
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